チーム結成から5年目、節目のシーズンを迎える「HELM MOTORSPORTS」は、新たなステージに挑む。国内最高峰レース「SUPER GT」のGT300クラスに、NISMOのオフィシャルパートナーチームとして活動することになった。
これにともない、第1ドライバーに平手晃平を招聘。チーム代表である平木湧也、そして平木玲次の3人でシーズンを戦っていく。併せて、監督には福山英朗が就任。NISSAN車で数多くの優勝、タイトルを獲得してきた経験を、采配に活かしていく。
マシンはもちろん、レースで勝つための車、NISSAN GT-R NISMO GT3で、信頼と実績のタイヤ、横浜ゴムとの強力なパッケージで優勝、そしてシリーズチャンピオンを目指す。
シリーズは全8戦で競われ、富士スピードウェイを舞台とする第2戦は、初の3時間レースとして開催される。決勝レース中の給油を伴うピットストップの義務づけは2回となっている。
予選日に引き続きまぶしいほどの強い日差しが照りつける富士スピードウェイ。ゴールデンウィークということもあり、この決勝日だけで5万人を超えるファンがサーキットに詰めかけた。スタンドやコースサイドのボルテージも最高潮に達した午後1時30分、お馴染みの警察車両の先導によるパレードランがスタート。その後フォーメーションラップを経て、午後1時36分にいよいよ3時間レースがスタートした。
スタートドライバーを務めたのは平木湧也。オープニングラップでややポジションは落としたものの、1分39秒台のラップタイムで周回を重ねていく。6周を過ぎたあたりからGT500クラスが後方から迫り、GTならではの混戦模様に。コースのいたるところで抜きつ抜かれつのバトルが見られるようになり、平木湧也も順位変動を繰り返しながら32周目までを大きなトラブルなく走り抜いた。
第2スティントを任されたのは平木玲次。予選位置より上がった14番手で走行し、前を走る2台のライバルと3台で12番手を争い合う。1秒を切るかどうかというギャップでのバトルは数周続いたものの、決定的なチャンスには恵まれず、66周目に2度目のピットイン。最終スティントを平手に託した。
ドライバー交代と給油、タイヤ交換を行い暫定17番手で復帰したHELM MOTORSPORTS GT-R。見た目上では予選結果と同じような位置に戻ったが、ライバルたちがルーティンのピット作業に向かうたびにひとつ、またひとつと順位が上がっていく。残り時間が25分を切ったところでポジションは12番手まで浮上していた。ポイント獲得まであとふたつ。直前を走るマシンはトラブルでも起きているのか、1分43秒台のタイムが並ぶ。平手もタイヤも摩耗が進み、苦しい状況の中ではあるが、1分40秒台のタイムで1周につき2~3秒、大きくその差を削ってきていた。
残り10分を切り、周回数が104周を数えたところで2台の差は2秒9。その翌周には平手が差を2秒削り、とうとう1秒を切るところまで追い詰めた。ファイナルラップで11番手に上がれるか。チームも固唾を飲んでバトルを見守る。歴然としたラップタイム差の中、平手はひとつポジションを上げることに成功! するとなんと、最終ラップでさらに前を走る1台がガス欠症状なのか、チェッカーフラッグを受ける直前でストップしてしまった。HELM MOTORSPORTS GT-Rはこれで10番手にポジションアップしてフィニッシュ。福山監督の「首尾よく、そつなく」の言葉どおり、大きなトラブルもアクシデントもなく着実に走り続けた結果、SUPER GT参戦2戦目にして10位フィニッシュし、ポイント獲得を果たした。
前半の2スティントを平木兄弟が頑張ってくれたので、残りの周回でポジションキープ、願わくばポジションアップと思いながら走りました。中盤以降はちょっと苦しかったけど、その時でも上位陣と同じようなラップタイムで走れてはいたと思っています。我々のクルマで今、目指すのは、タイヤの状態がいい時にもっと速く走れるようにすること。予選やスタート直後、タイヤのいいところを使い切れていない感じがあったので、そこは次戦以降の課題ですし、今回の収穫だったと思っています。正直に言えば、スタートするまでは(ポイント獲得できる)10位はけっこう遠い位置だなあと思っていたのですが、トラブルもなく淡々と走れたことがすごくポジティブに働きましたね。強豪たちが脱落していく中、きちんと走り切れたのはすごく良かったと思っています。
ウォームアップの時とセットは同じだったものの、気温などのコンディションが変わったことでバランスが変わり、すごく苦労しました。何とかペースを大きく落とさないことを心掛けて走りました。ドライバーだけでなく、チームのみんなが自己ベストを出すと一生懸命頑張って戦った結果のポイント獲得。すごく大きな結果だと思いますし次につながると思っています。2戦を終えて、GTの難しさというか、チームとしてデータも含めて蓄積されてきているのを感じています。次戦以降も引き続き、課題を改善していきたいと思います。
開幕前のテストも雨に見舞われ、この週末もサーキットサファリやFCYトレーニングの時間に少し走れただけでしたが、そんな中で第2スティントを担当し、クルマのポテンシャルをフルに出し切ることはできたかなと感じています。クルマのバランス含め、まだまだ課題はありますが、そんな中でも無事にポイントを獲得できたので、シーズン中盤から後半にかけて、もっと上の順位で戦うために大きな収穫のあるレースだったと思います。開幕戦がまったくいいところがない状況で終わってしまい、そこからチームのみんながすごく頑張って対策を練ってくれたので、その頑張りが結果として現れたことは嬉しいです。まだまだ満足できる結果ではないので、次戦に向けてしっかり準備をして、さらにいい結果で終えられるように頑張りたいと思います。
割と精度の高い、ペースとしても悪くないところで、安定してずっと走り続けることができました。一部速いクルマはありましたが、もし予選結果がもう少し良くて、何もかもうまくいけば表彰台に近いところでずっと走れるような、そんなペースで戦うことができました。ただ、僕自身はまだ、これが実力ではないと思っています。一番は予選でのパフォーマンスで、そこで上位に食い込める何かが欲しいですね。最後の最後に10位に上がれたのは、ボーナスがもらえたような感じかな。でも、そういうところで走れたことでもらえた結果。今度はさらに予選から上で戦いたいですね。
SUPER GT
ROUND 2QF
COMMENTS
KOHEI
開幕戦の岡山では、まだクルマのバランスがハッピーだとは言えない状態でレースもバタバタしてしまい、苦しい状況で終えることになったので、今回富士に来る前のミーティングで、今までやったことのない方向にクルマを振ってみようということになりました。まだまだ2戦目、データはたくさん獲れたほうがいいですから、今回はそれで行ってみようと。ただ、外れた時のバックアッププランも用意していて、公式練習では序盤のうちにそのプランに変更しました。そこから少しずつバランスを見ながらセッティングをいじって予選に臨みましたが、だいぶバランスもとれてきて手応えも感じられたので、この週末はこの方向で詰めていきたいなと思えました。今回は3時間レースと長い戦いになるので、いろんなことが起きるかもしれない。そんな中でも自分たちのベストを尽くしたいです。今回は16番グリッドからのスタートで、ポイントが獲れない位置でもない。なんとか1ポイントでも持って帰って、自分たちが着実に進化していることを結果で表したいですね。
YUYA
岡山でのセッティングが良くなかったので、3パターンぐらいプランを用意して傾向を確認するというのが公式練習でした。順位は良くはありませんでしたが、ようやくベースになるものが見つかったかなという感じで、結果以上に手応えを感じることができました。予選でも安心して攻められるようになってきましたね。まだまだ2戦目、データ量も少ない中、あくまで想像の範囲で持ち込んできたクルマでしたが、そこからいい形で進められた予選だと思います。決勝レースは3時間と長く走れるので、データを獲るという意味でもしっかり最後まで走り切りたいです。
REIJI
僕はFCYトレーニングからの走行でしたが、決勝レースを見据えた条件で走りました。けっこう距離の進んだ、消耗したタイヤで走りましたが、その状態でマシンのバランスをしっかり確認できたので、それも予選に向けていいフィードバックになったかなと思っています。少しずつではありますが、前回と比べても前進はしているので、決勝でもしぶとく最後まであきらめずに行きたいです。
HIDEO
開幕戦の1レースを終えたところで、まだまだチームはスイートスポットを見つけられずにいて、今回はプランを3つぐらい大きく立てて臨みましたが、その中で「これかな」という方向性が見えてきました。中団グループで十分戦えるような手ごたえを実感できたことで、ドライバーはもちろんメカニックたちもいい雰囲気で仕事ができていますね。決勝レースは、首尾よくそつなく。何があるか分からないっていうのが最近のSUPER GTだと思っているので、イレギュラーなことにもきちんと判断を下していけるようにいきたいですね。