

「HELM MOTORSPORTS」がチーム創設以来、挑み続けているFIA-F4選手権は、2025年に6シーズン目を迎えることになった。4台体制は従来どおり。しかし、ドライバーラインアップには変化がある。
まずチャンピオンクラスには、中井陽斗と岸風児を送り込む。ともにカートレース出身のルーキーながら、オフの間じっくり修行を重ねてきたドライバーだ。そしてインディペンデントクラスにはSAKAI WILLIAMが2シーズン目に挑み、清水剛が新たに加わった。清水は元GTドライバーで、20年ぶりのレース参戦となる。
例年どおりシリーズ開幕の舞台は、ゴールデンウィーク真っ最中の富士スピードウェイ。大観衆が訪れる晴れ舞台で、チーム、ドライバーともにスタートダッシュを誓う。
今大会は3レース開催ということで、レース3のグリッドはレース1のベストタイム順で決定。ひとつでも順位を上げることも重要ながら、どこかで1周を完璧に決める必要もある。初戦となる中井や岸、清水にとっては、ひとつハードルが上げられた格好でもあった。
しかし、チャンピオンクラスのふたりには、その前に試練が……。中井がスタートでエンジンをストールさせ、岸も完全に出遅れてしまう。逆にインディペンデントクラスのWILLAM、清水は無難にスタートを決め、岸と中井の前にも出る。
さすがに周回を重ねるごと、インディペンデントクラスのジェントルマンを岸、中井とも抜き続けていくが、チャンピオンクラスの尻尾はなかなか見えず。5周目の13コーナーでアクシデントが発生し、6周目からセーフティカー(SC)が入ったから、より上昇の機会は失われていく。9周目でSC先導は終了。
その後、インディペンデントクラスのトップにも、岸は迫っていった。しかし、11周目の1コーナー進入でブレーキがロック! 完全にコントロールを失い、あろうことかインディペンデントクラスのトップと接触したばかりか、コース外に弾き飛ばしてしまったのだ。なんとかコースには留まれた岸だったが、再びSCを導入させることとなり、さらに40秒加算のペナルティで完走車両のうち、最下位の24位でデビュー戦を終える羽目に。
そのアクシデントで中井は、インディペンデントクラスこそ全車抜いた形となったものの、チャンピオンクラスの尻尾は最後までとらえられず。22位でレースを終えた。
一方、インディペンデントカップでは、ポジションキープに徹したWILLIAMが先行する車両のアクシデントによる後退もあり、7位でフィニッシュ。さっそく自己最上位を更新した。そして清水はスタート直後の1コーナーで接触があり、フロントウィングを失っていた。最後まで走り続けることはできたものの、大幅にバランスの狂った車両ではコースに留まるのが精いっぱい。入賞ならず12位に終わった。
(スタート直後の)1コーナーはすごく混雑していましたけど、とにかく「ポジションは下げない、下げない」という頭で、維持してP7で終わったと思うんですよ。なので順位を上げられたので良かったです。練習が効いたのと、やはりレースに慣れてきたんでしょう。スタートも良かったし、目標として考えていたことが、いろいろできたから良かったです。明日はP7からスタートなんですよ、より上げたいですね。まわりもけっこうバチバチだったけど、巻き込まれないようになったのも良かったです。
ストールしちゃいました。車は予選からレース1に向けてセット変更したら、それはいい感じに進んでいるかな、って感じでしたが、ただ集団の中でずっと走っていたんで、タイムは出ていなくて、SCも2回入っちゃったので……。すべてスタートが悪かったかな、と思います。気持ち入れ替えて、明日また頑張ります。
スタート失敗しちゃって、その後、インディペンデントクラスの人に当たっちゃって、いや、本当に申し訳ないな、と。頑張っては行ったんですけど、ちょっと焦っちゃったところがあって、ぶつけてしまったら、自分のレースも相手のレースも台無しにしているんで、そこは本当に申し訳ないと思います。
フロントウィングは、たぶんスタートの混乱で誰かと当たっちゃって。でも、すごくレースは面白かったです。もちろんバランスは変わって、飛び出しそうだったんですが。でも、面白かったです。もっと練習して、もっと走れるようになって、若い頃のように気持ち良くレースしたいですね。結果が伴えば、もっと嬉しくなるでしょう。とりあえず、ひたむきに頑張ります。
日曜日の富士スピードウェイも天気に恵まれ、最高のレース日和となっていた。レース1のスタートの遅れがよほど響いたのだろう。レース2では中井、岸とも無難に発進し、こと中井は1コーナーへのアプローチもうまく決め、1周目を4ポジションアップの12番手で終える。そして岸もひとつ上げて22番手に。2周目の1コーナーで中団に接触があり、2台がストップ。これで岸が20番手に上がった直後にSCが導入される。
7周目にSCの先導が終わり、リスタート直後の2コーナーで先行する車両の接触、オーバーシュートに乗じて中井が10番手に浮上。ついにポイント圏内に入ってきた。そして岸も16番手へ。中井はしばらく単独走行だったが、終盤には前を行く車両に急接近。コンマ4秒及ばず、もうひとつ順位を上げることはできなかったものの、先にゴールした車両にペナルティが課せられ、9位という結果を得ることになった。
逆に岸はバトルを繰り広げてレース終盤を走り続け、16位でフィニッシュ。それでも7ポジションアップに成功した。
ジェントルマンクラスではWILLIAMがスタートを決め、ひとつ順位を上げて6番手からレースを開始。レース1同様、冷静な走りでポジションを守り続けた。最後は前からは離されてしまったが、後ろとの差はより一層広げてゴール。また最上位をひとつ上げる6位を獲得した。
そして、清水も1コーナーの渋滞をうまくすり抜け、15番手から11番手へ。バトルを最後まで繰り広げ、最終ラップにポジションアップ。10位となって、復帰後初のポイントを獲得した。
6位で終わったので、ひとつ順位を上げてきて(笑)。良かったです! たぶん抜いてきたのはスタートで、うまく渋滞を乗り切って、順位を上げることができました。次のレース、昨日のベストラップが削除されちゃったので、もしかしたら今より順位、もっと後ろかもしれませんが、頑張ってレースできるようにします。
昨日、失敗したスタートも、ちゃんとメカニックさんとも話し合って、いろいろ改善策を自分なりに考えて、実践した結果、無難に切ることができたので、そこは良かったです。レースも前で接触があったりして、順位が上がりましたが、もっとトップ集団に、前の方に食らいついていこうと思うと、今はもっともっと自分のペースと実力が足りていないので、そこがもっと欲しかったですね。まずはポイント獲ることが今回の目標でもあったので、デビューウィークとしてはまぁまぁ、とりあえず良かったと思っています。次は全然後ろのようですが、ひとつでも上を目指して、ポイント獲れるよう頑張ります。
スタートが23番手だったので、上がってはいるんですが、ちょっと入賞とかポイント獲れる順位を走るには、まだまだ速さも、バトル強さも足りないので、そこを磨きつつ次の第3戦を、スタートグリッドはチャンピオンクラスのほぼ最後尾なので、そこからどれだけ上がれるか、自分の腕を信じて試してみたいと思います。今日はスタート、出だし自体は悪くなかったので、あとはどこに場所を取るかっていうのを、しっかり考えて次に向けて修正したいと思います。
まず1ポイント! とりあえず車に慣れるために、いっぱい走ろうと思って。徐々に慣れてきたので、4〜5番手争えるように頑張ります。今回は慣れることが目標で、今日もまだ1レース残っていますが、次のレースは8月なのでうまくつなげられるといいですね。最後、抜いてきたのは1コーナーです。実は途中でぶつかっちゃって、ハンドルも曲がっていたのですが、あのへんはイケイケで、すごく激しかったですね。
レース3のスターティンググリッドは、前述のとおりレース1のベストラップ順となるが、清水以外は走路外走行があったため採用されず。不本意ながら中井は25番手、岸は26番手、そしてインディペンデントクラスもWILLIAMが11番手、清水も15番手からのスタートになってしまう。
注目のスタートは、チャンピオンクラスのふたりで明暗が分かれてしまう。岸は好スタートを切って2ポジション上げたのに対し、中井は再び出遅れる。岸は2周目に1台を抜いて22番手まで上がっていたが、中井はインディペンデントクラスのトップにも抑えられいた。
そんな中、コカコーラコーナーと最終コーナーでアクシデントが発生。2周目を終える前にSCが導入される。SCランは6周目まで続き、いざリスタートが切られると、1コーナー立ち上がりでも接触が。再びSCが導入されてしまう。車両回収に時間を要し、刻々と時間は経過していく。その状況において、10周目のダンロップコーナーでトップ、6番手を走行していた車両がトラブルに見舞われ、ほぼ同時にストップ。よりSCランは長くなってしまう。
やがてスタートから30分が経過し、11周目を終えた時点でタイムアップ。無情にもチェッカーが振られてしまう。チャンピオンカップでは上位4台がリタイアしたことで、岸は18位、そして中井は22位でレースを終えた。
インディペンデントクラスでは、またしてもWILLIAMがスタートを決めて9番手に。次の周には、さらに2ポジション上げてきたところでSCが入ってしまう。清水もスタートを決めて13番手に浮上。ダンロップコーナーでのスピンがあって、いったんは最後尾に落ちながら、リスタート後に1台をパスして勢いを見せるも、SCに行く手を阻まれてしまった格好だ。清水は先行車両のペナルティにより、ひとつ順位を上げたが11位で、連続ポイント獲得には至らず。WILLIAMは7位でゴールし、3戦ともにポイントを獲得。昨年とは見違えるまでの進化を果たしていただけに、もし何事も起こらないレースだったら、どうなっていたか!
SCがちょっと長引いちゃって、もうちょっとアタックしたかったですね。まぁ、11番手から7位まで上げられたので、それは良かったんですが、もうちょいレース欲しかったですね(笑)。普通にレースやっていたら、また違った展開もあったかもしれません。3戦連続でポイント獲れて、次もまた富士なので、頑張ります!
やっぱりスタートが課題で、まだクラッチミートの感じが理解できていなくて……。今回は早く離しすぎちゃって進みはしたんですが、回転が落ちちゃったので、そこのスタートの仕方は次までに考えて、直していきたいと思います。(インディペンデントカップのトップを)リスタート後に抜いたのは1コーナー、それはうまく合わせられましたね。でも、やっぱりスタートが課題すぎるので、そこを改善して、どうにかしていきたいです。次も頑張ります。
スタートは、はい、良かったです。スタート良くて、車は出ていったら良くて、「もう少し前に上がれるなぁ」と思っていたので、ちょっと残念なレースでしたね。残り1周で再開できるかなと思っていたら、何台か止まっちゃってエンジン吹けなくなっていたんでしょうか。僕も症状が、コーションランプ点いていたので。まぁ、わからないですけど、止まらないでゴールできたので、とりあえず良かったです。しっかりまた準備して次はポイント獲れるように、もっと前の方でゴールできるように頑張ります。
ダンロップコーナーでは、ブレーキングの時に道がなくなっちゃって、縁石またいでしまって。でも、その後またスルスルっと上がっていって良かった。抜いていったのは100Rです。アウトから抜いて。だいぶ感覚が戻ってきたので、次、もうちょっと頑張ります。
WILLAMさんが急成長です! 練習の成果というか、安定していますよね、確実に成長しています。他の3人は今回がF4初めて。テストが雨ばかりで、ドライをちゃんと走れなかったというのはありますが、でも剛さんは良かったですね、練習よりも全然タイム出ているし。今のレーシングカーに慣れてもらって回数を重ねれば、もっと良くなるはずです。その一方で若手が不発でしたね。練習したけど、やっぱりこの雰囲気と流れで緊張しちゃって、予選もうまくタイム出なかったし、位置取りも良くないし。でもレース2で中井くんはポイント獲れたので、そこは良かったですね。しっかり順位を上げていたし。レース3はまたスタート失敗しちゃいましたが、なかなか去年の末からフォーミュラ乗り始めたばっかりなので、今年いろいろ経験して、後半戦で表彰台争いできるようにしたいかなと思っています。岸くんは去年から練習していますが、僕も想定より「あれ?」って感じでしたね。でも、本人たちもダメなところは明確になったと思うんですよ、テストだけじゃわからなかったことが。それをどう改善するかは、本人次第ですね。だいぶ期間は空くので、しっかり練習して課題克服してもらって。まだ先は長いので、頑張ってもらいたいです。
FIA-F4
ROUND 1&2&3QF
COMMENTS
WILLIAM
ちょっと頑張ってきました! 練習も重ねて、富士を重点的に。練習とは違ってニュータイヤだったんですが、ジャダーがすごすぎちゃって、もう少し攻めたかったんですが、攻めきれなくて。まぁ、トップ10に入ったんで、嬉しいです。レース楽しみですね。
HARUTO
位置取りが難しくて、スリップ使えたら10ポジションとか簡単に上がっちゃうので、自分のできるところがもっとあったと思うんですけど、実際このポジションが現実、自分の実力だと思います。これから3レースありますけど、切り替えてしっかり、レース1のベストタイムがレース3のグリッドになるので、少しでも前でスタートできるように、切り替えて頑張ります。
FUJI
自分としても、ちょっと満足に動かせないところがあったりして、あまり納得のいく予選ではなかったですが、切り替えてレース頑張りたいと思います。とにかく、動かし方というところで、どうしても手前で曲げきれていなかったり、突っ込みすぎて出口のところでオーバーを出してしまったりしているので、もっと繊細に感じ取って、もっと細かいところのコントロールができるように、やらなきゃなぁという感じです。決勝でまた何かつかめたらいいですね。
GO
フォーミュラは25年ぶりになります、51歳になりましたから。久しぶりに乗ったら今のレーシングカーに慣れなくて、「そんなスピードで曲がれるの?」ってところから始まって(苦笑)。でも、ちょっとずつ慣れてきて、25年前の自分にどれだけ近づけるか、それなりに老化もしていますけど、心が若返りましたよ! レースやめたあと、その経験を次の世界で活かして、それなりにうまくやれてきたので、次の20年、30年のために人生の起爆剤が欲しいと思ったのが、復帰の理由ですね。