チーム結成から5年目、節目のシーズンを迎える「HELM MOTORSPORTS」は、新たなステージに挑む。国内最高峰レース「SUPER GT」のGT300クラスに、NISMOのオフィシャルパートナーチームとして活動することになった。
これにともない、第1ドライバーに平手晃平を招聘。チーム代表である平木湧也、そして平木玲次の3人でシーズンを戦っていく。併せて、監督には福山英朗が就任。NISSAN車で数多くの優勝、タイトルを獲得してきた経験を、采配に活かしていく。
マシンはもちろん、レースで勝つための車、NISSAN GT-R NISMO GT3で、信頼と実績のタイヤ、横浜ゴムとの強力なパッケージで優勝、そしてシリーズチャンピオンを目指す。
シリーズは全8戦で競われ、富士スピードウェイを舞台とする第4戦は、350kmレースとして開催。第3ドライバーの登録も認められているため、平木玲次も加えての戦いになる。
ここ2戦はいずれも3時間レースで、予選より決勝で順位を上げてきた。第2戦・富士では6ポジション、第3戦・鈴鹿では10ポジションアップ。スーパー耐久の経験で、長丁場を得意とするチームとしての評価は高めたものの、問題は予選だ。これだけ上げても決勝は10位、11位という結果で終わっており、こと第3戦に至っては予選、決勝ともにGT-R勢の最上位ではあった。
しかも、今回からGT300クラスのサクセスウェイトの上限が、80kgから50kgに改められている。安全上の見地からだが、果たしてまだ2kgしか積んでいない「HELM MOTORSPORTS GT-R」にとって、吉と出るか、凶と出るか。もちろん、どんな状況であれ耐えて、足掻いて好結果を狙う。チームとドライバーの奮闘に期待してほしい。
予選日に続き朝からうだるような暑さとなった富士スピードウェイ。決勝レースが始まる頃には気温は34度、路面温度はなんと55度を示していた。まさに灼熱の中、350kmの決勝レースがスタート。今回スタートドライバーは平木湧也が務めた。
オープニングラップで3ポジションアップの17番手につけた平木湧也は、他車のピットイン等もあり、翌周には15番手に浮上。今シーズンのルールでは、決勝レースのスタートタイヤは前日の予選で使用したタイヤを連続使用しなければいけないことになっている。
実は今回、予選で前のポジションを狙うためHELM MOTORSPORTS GT-Rは、ソフト目のタイヤを選択していた。硬めのタイヤと比べて一発の速さは出るものの、タイムの落ちという部分を考えるとあまり長い周回数を走ることはできない。ただチームとしては、30周ぐらいまでは引っ張りたいところで、平木湧也もそれに応えるかのように、前後のマシンとの接近戦を演じながら、周回数を伸ばしていった。
25周目に入ったところで、GT300クラスのトップがピットイン。時を同じくして、レースはFCY(フルコースイエロー)が提示される。1台のマシンがダンロップコーナー先でストップしてしまい、その車両を移動させるためにFCYが導入されたのだが、ストップ車両が見えたタイミングでピットインを選択したトップのマシンは、残り周回数を考えると燃料が持つのかという懸念材料はあるにせよ、これで大きなアドバンテージを得ることになった。
だが、HELM MOTORSPORTS GT-Rとしてはピット作業を行うには早すぎるタイミングだったことから、この状況ではステイアウト。車両の移動はスムーズに進み、翌26周目にはFCYは解除され、再びレースがスタートした。すると今度は、GT300クラスの別のマシンがスロー走行。先ほどのマシンと同じようにコースサイドのどこかにストップすれば、再びFCYが提示される可能性がある。チームはすぐに平木湧也にピットインを指示。周回数は27周を終えるところだった。予定よりも早めのピットインを敢行するも、残念ながらこのタイミングではFCYは入らず、このタイミングで大きくマージンを稼ぐ作戦は失敗に終わってしまう。
GT300クラスの中でもやや早めのピットインになったHELM MOTORSPORTS GT-R。平木湧也からバトンを受け取った平手は40周以上のロングスティントを担当することになった。40周目には1台をかわして暫定17番手に。ライバルたちが次々にピットに向かい、そのたびにHELM MOTORSPORTS GT-Rの順位は上がっていく。60周目には14番手に、さらに終盤、一台が緊急ピットインを行ったことで13番手にポジションを上げると、そのまま70周目にチェッカー。結果は13位となった。
タイミングとしては、当初の予定よりは早い周回数のうちに交代することになって、タイヤのマネージメントにはかなり気をつけながら走りました。ただ、徐々に空が曇り始めて気温も路面温度も少しずつ下がっていたので、タイヤ的には天気に助けられましたね。今日はドライバーふたりもチームもミスなく終えられて、いい結果になったと思います。次戦は2度目の鈴鹿でのレースです。前回は予選で下位に沈んでしまいましたが、まわりのサクセスウェイトの搭載状況も変わり、僕たちもいいセットアップやタイヤの方向性を見つけられて、自分たちの速さ自体も身に着けられているので、それをきちんと出し切ることができれば上位からスタートできて、また違う戦い方を見せられるようになると思います。頑張ります。
ソフト目のタイヤを選んだ分、ちょっとチャレンジングなスティントになりました。序盤はポジションも上げることができたし、悪くないタイムも出せていましたが、やはりスティントの後半はきつかったです。特にレーススタート時が、気温も路面温度もピークを迎えるタイミングだったので、タイヤがどんどんと消耗していく中でなんとか耐えて走っていました。今週末は事前にテストに参加できたことで持ち込みセットも大きく外れることなく、いいレースウィークの滑り出しを迎えられたと思ったのですが、予選に向けての精度やタイヤチョイスについての想定などで、少し良くないところが出たかなと思っています。それらが克服できればある程度上位まで行けるポテンシャルがあることも分かったので、それに対してはポジティブに考えています。今年はGTに挑戦する初年度で、いろいろなことを改善する年だと思っているので、ひとつひとつしっかりと潰していけたらと思います。
予選で残念ながら前の方のポジションを獲ることができず、ここまでのいつものHELM MOTORSPORTSと同じようなポジションからスタートすることになりました。そんな中で、結果としては13位と、これもいつものような数字になったわけですが、どちらのドライバーもしっかりとタイヤを使い切るまで攻めた走りをして、最後まで絞り切って走ってくれましたし、チームのピット作業も大きなミスなくこなせました。ただ、攻めの戦略をとった結果が不発に終わってしまったところもあり、少し手柄を急いでしまった部分もあったかなと感じるので、それはもったいなかったかな。でも今ある実力をみんなが絞り出せたレースにはなりましたね。そういう意味で、内容としては次につながるレースができたと思います。
SUPER GT
ROUND 4QF
COMMENTS
KOHEI
公式練習の時点では、当然まだ詰めなければいけない部分はあるにせよ、持ち込みのセット自体もそんなに悪い感じはありませんでした。決勝を見据えた状態で走った時のフィーリングもペースも良かったですし、予選で普通に行けば、今回はシングル、それも上位で終えられるんじゃないかなと期待していたのですが、実際に予選で走ってみると、フィーリングが全然違っていて。セッションを終えて戻ってきてからデータを分析してみたところ、予選に向けてクルマを仕上げていく中で必要な部分を見落としていたことに気づきました。Q2に向けてはその部分もしっかりと見直して湧也が走ったら、ユーズドタイヤでも僕のアタックよりもいいタイムが出せました。悔しい結果ですが、こういったことをひとつひとつ潰していってチームは強くなっていくはずです。同じことを繰り返さずにいきたいですね。決勝レースに対してはパフォーマンスにも自信があるので、できるだけ順位を上げていきたいです。
YUYA
公式練習のフィーリングは良かったものの、平手選手に走ってもらったQ1ではチームとして見落としていた部分があってタイムを伸ばせず、Q2に向けてはクルマをアジャストして臨みましたが、バランスも想定と大きく変わってしまいました。SUPER GTのシビアな部分、難しさというのを痛感しました。チームとしてもっと精度を上げていかないといけないという課題が明確になったのは良かったかなと思います。決勝を見越した練習ではかなりいい状況だったので、決勝ではこれまでの3戦と同じように追い上げていけたらと思っています。
HIDEO
今回は前の方からスタートできそうな、そんな雰囲気を感じるプラクティスだったのですが、予選を終えてみるといつもの位置に来てしまいました。そこにはいろいろな理由がありますが、すべてチームとして進化している過程で起こったこと。これまでは、このクルマのスイートスポットを探すのに、砂漠の中でコンタクトレンズを探すような仕事をやってきましたが、テストを走ったことで「このあたりかな」というのが見えてきました。そうすると、もっと条件に合わせてシビアに物事を進めていこうとするわけですが、そこにオペレーションがついていけていなかった。今日の予選はそういうことで、ポジティブにとらえるなら、ようやくシビアに物事を進めていこうとするステップにチームが到達したんだということだと思っています。今回は350kmレースと追いかけていける時間が短いので、これまでの第2戦、第3戦のように大きくポジションを上げるのは難しいかもしれません。それでもみんなで最後まで攻め切ったレースができればと思っています。