

チーム結成から5年目、節目のシーズンを迎える「HELM MOTORSPORTS」は、新たなステージに挑む。国内最高峰レース「SUPER GT」のGT300クラスに、NISMOのオフィシャルパートナーチームとして活動することになった。
これにともない、第1ドライバーに平手晃平を招聘。チーム代表である平木湧也、そして平木玲次の3人でシーズンを戦っていく。併せて、監督には福山英朗が就任。NISSAN車で数多くの優勝、タイトルを獲得してきた経験を、采配に活かしていく。
マシンはもちろん、レースで勝つための車、NISSAN GT-R NISMO GT3で、信頼と実績のタイヤ、横浜ゴムとの強力なパッケージで優勝、そしてシリーズチャンピオンを目指す。
本来、鈴鹿サーキットでの第5戦は9月に開催される予定だったが、台風接近のため延期され、この週末に開催。今大会が正真正銘、今年のラストレースになる。なお、今大会は300kmレースながら、第3ドライバーの登録も認められているため、平手晃平と平木兄弟の3人で臨む。
シリーズ後半戦は何かと悪天候に翻弄されてきたが、前大会のモビリティリゾートもてぎも、土曜日が雨。公式練習では6回も赤旗中断があり、満足に周回をこなすことができなかった。当然、セッティングもままならぬ状態で挑んだ予選では、大苦戦を強いられて23番手という結果に終わっている。一転して天候に恵まれた日曜日も、いきなりドライコンディションでの走行を強いられ、いつものように順位を上げてきたが、17位とあっては、ましてチームのホームコースである。大応援団の期待に応えることはできなかった。
今大会は、ほぼ全車サクセスウェイトを下ろす戦いでもある。軽さ、重さはメリットにも、デメリットにもならない一戦だが、とにかくベストを尽くして、シーズンを締めくくりたいところだ。
決勝日を迎えた鈴鹿サーキットは、前日以上に冷え込みが厳しくなっていた。ウォームアップ走行開始の時点では路面温度は20度に届かず、気温ももう少しで1桁というほどだった。グリッドウォークなどで観客の熱も取り込んだか、決勝スタート時には気温15度、路面温度は22度まで上がり、いよいよ今シーズン最後のレースがスタートした。
HELM MOTORSPORTSは22番グリッドを得ていたが、タイヤ交換を決めたため、ピットスタートを選択。コース上でシグナルがグリーンに変わり各車両が一気にスピードアップしていく中、タイヤを換えてからピットを離れ、コースインした。第1スティントを担当したのは平木湧也。ピットスタートだった分のギャップを削って、数周で隊列の最後尾に着くと、1台、また1台とライバル車両をとらえてポジションを上げていく。10周目には予選順位の22番手まで戻り、さらに前を目指していった。
ドライバー交代が可能なミニマム周回の18周目にピットに戻って、平手にバトンタッチ。この戦いで、HELM MOTORSPORTS GT-Rは初めてのタイヤ無交換作戦に討って出たのだ。同じく18周目にピットに戻ってきたライバル勢たちを、平手は熱の入ったままのタイヤで抜き去っていく。前半を担当した平木湧也は冷えたタイヤを痛めつけないように、そして後半の平手は第1スティントよりも長い距離を、タイヤを持たせながら走り切るという、それぞれが難しいスティントとなったが、平手は安定したペースで周回を重ねていった。
終盤は気温、路面温度ともに下がり、タイヤの消耗も進んできたことから、若干ペースを落としてコントロールに徹したが、大きなトラブルもアクシデントも抱えずに、16位でチェッカーを受けることに。ピットスタートから12ポジションも上げて最終戦を締めくくった。
HELM MOTORSPORTSはSUPER GTデビューシーズンで8戦すべてを完走し、チームランキングでは、全戦でポイントを獲得してランキング16位となった。
今回はタイヤを無交換で戦う作戦だったので、アウトラップではタイヤを換えていて、まだ温まっていないマシンを何台か抜くことができましたが、クルマのバランスで少し納得していなかった部分があったので、そこは気にしながら走りました。選んだタイヤで鈴鹿を、しかもこれだけのレース距離を走るのは初めてだったので、最後まで持つかも疑問で、最後の10周を切ったあたりから少しペースコントロールして最後まで走り切ることができました。もう少しバトルができたら良かったですが、結果としてしっかりと走り切って順位を上げてレースを終えられたのは、自分たちのチーム力を示せたところなので良かったと思っています。クルマのレベルアップやレースウィークを通して流れをつかむというところをしっかりやっていけば、もっと上で戦えると思うので、来年はそこに期待して頑張りたいです。
ピットスタートという作戦を採ったので、自分たちがピットに入るまでにラップダウンされないように頑張りました。ペースとしては悪くなく、最終的には先頭車両に抜かれることなくピットに入れましたし、タイヤ無交換作戦はチームとして初めてのチャレンジでしたが、それもうまくいって自信になるかなと思っています。今ある中ではベストを尽くせた一戦で、「ランキング16位以内に入って来年のAシードを獲得する」という今シーズンの目標もクリアできて、本当に良かったです。ドライバーランキングとしてはポイントを獲れないレースばかりでしたが、ほとんどのレースで順位を上げてゴールできたのはいいことですし、何より全戦完走できたことは大きな収穫です。GT初年度を無事に戦い切り、課題やテストに向けてやりたいこともたくさん出てきました。それをひとつずつクリアしていって、来年はさらに強い姿を皆さんにお見せできるように、これからも頑張っていきたいと思います。
予選後の抽選で決まったタイヤが、今回の戦い方には少し合わないという判断で、ピットスタートでタイヤを履き換えて走り出すということを決めました。最後まで持つか心配でしたが、ふたりともいい走りでしっかりと持たせてくれましたね。ここ2戦ほど、より上を目指すことによって我々らしくないレースを続けてしまっていましたが、最後の最後で自分たちらしい、しぶといレースをしてくれました。もちろんまだまだ目指すところは上ですが、今日のレースに僕は満足しています。欲を言えば、自分たちらしさを取り戻したところで「もう1戦やりたい」といったところでしょうか。こうやって堅実に、今ある戦力を100%引き出すことを積み重ねることが大事なんだというところに立ち戻って、しぶとく戦い続けていくことで道は開けます。すべてのものが噛み合った時には見える世界が変わるようなレースですから、そういう時にチャンスをつかめるよう、これからも自分たちらしさを失わず、しっかりと力をつけていきたいです。異例のスケジュールで長いレースシーズンとなりましたが、最後まで応援いただきありがとうございました。
SUPER GT
ROUND 5QF
COMMENTS
KOHEI
そろそろタイヤが温まってきたかなという頃に少しタイヤに違和感が出たので「あれ?」と思ったら、1輪だけ内圧がどんどん下がってきていました。スローパンクチャーの状態でピットに戻ったので、クルマの状況を確認して修理するのに時間がかかってしまい、もともと予定していたプランを消化しきれずに公式練習を終えることになりました。しっかりと走り切れていればもっとデータも獲れて予選に向けたセットアップももっと煮詰められたと思うので、残念ですね。
YUYA
今回は公式練習以外、FCYテストやサーキットサファリなどのセッションがなく、その公式練習もアクシデントで走行時間が削られてしまったので、僕自身は予選で初めて今週末クルマに乗るというような状況でした。セットアップを進めていたタイヤとは違うものを履くことになり、そういう部分でも非常にタフな予選でした。セッションとしてはあまりいいところがなく終わってしまいましたが、明日は今シーズン最後のレースなので、いい締めくくりにするためにもしっかりと順位を上げて終えたいです。
HIDEO
久々に公式練習からドライコンディションで走れる状況でしたが、残念ながらトラブルが出てしまいました。ドライバーは大変な予選になったと思います。特に湧也は事前に1周もできずにいきなり出走。タイヤに関しても分からない状態で出ていって、しかも赤旗が出てしまいました。もともとアタックするタイミングを狙ってタイヤの内圧を調整していきますが、赤旗中断でピットに戻ってくることになると、そのタイミングも狂ってしまう。本当に、2人は良く走ってくれました。明日はシーズン最後の戦いです。どうなるかは分からないし、何があるかもわかりませんが、とにかく最善を尽くし、持てる戦力をフルに引き出して、地道に戦い抜きたいと思います。