





「HELM MOTORSPORTS」がチーム創設以来、挑み続けているFIA-F4選手権は、2025年で6シーズン目を迎えた。チャンピオンクラスに挑むのは、ルーキーの中井陽斗と岸風児。そしてインディペンデントクラスは、2シーズン目のSAKAI WILLIAM、元GTドライバーで20年ぶりのレース参戦となる清水剛が挑む。
スポーツランドSUGOでの前大会は3レース開催で、インディペンデントクラスで清水が欠場したものの、もうひとりのWILLIAMが大活躍。3レースとも入賞、しかも10位、9位、8位と、ひとつずつポジションを上げ、着実な進化を明らかにした。
その一方で、チャンピオンクラスのルーキーたちは苦戦が続く。ふたりとも3戦すべてトップ20にも入れずに終わっていたからだ。SUPER GT同様、HELM MOTORSPORTSのドライバーらしく、予選より決勝で順位は上げてくるのだが……。激戦のFIA- F4はコンマ数秒の差で順位が大きく変わる。平木湧也監督の見立てでは「1周まとめきれていない」となったが、その課題をクリアできれば、決勝で走る位置も大きく変わってくるに違いない。
オートポリスが舞台の第5大会は2レース開催ながら、初の試みとして決勝もチャンピオンクラスとインディペンデントクラスをレース1、レース2とも分けられる。昨年のSUGOでも別開催はあったが、その時はレース2のみ。その分、予選は金曜日の午後に行われるが、通常はドライバーが時間を持て余していた時間帯だ。負担増にはなるまい。リズムの変化が、特に中井と岸にいい影響を及ぼしてくれることを期待したい。なお、今大会も清水は欠場となる。

土曜日の早朝は、「本当に今日、雨が降るの?」と思わせるほどの好天となっていた。ただし、気温がそれほど高くなく、金曜日の専有走行にも等しいコンディションに。となれば、低めの路面温度を得意とするWILLIAMにとって、まさに舞台は整っていた。
そういった背景もあってか、スタートも決めて1ポジションアップとなる8番手で1コーナーをクリア。前からも遅れず続いて、さらにポジションを上げることが期待された。ところが、好事魔多し。最終コーナーで追いかけていた車両が姿勢を乱し、これを避けようとしてコースアウト。砂利の上でリヤタイヤは空転するばかり。早々にリタイアを喫することとなった。

午後から降り出すと予報で告げられた雨は、スタート進行開始の段階ではなんとか回避。直前にSUPER GT公式練習の終盤に降った雨も、路面に残ることはなかった。ただ、フォーメイションラップが始まってすぐに小雨が降り始めたが、結論から言えば走行に影響を及ぼすまでには至らなかった。
スタートは中井、岸ともに無難に決めて、まずはポジションキープとなる21番手、23番手からレースを開始。しかし、スタートを切れなかったマシンがあり、トラブルで液体を撒いていたことから、1周目を終える前にセーフティカーが導入されてしまう。
先導は2周に及び、3周目にリスタートが切られる。中井、岸ともに1コーナーでの逆転は許されなかったものの、それぞれ先行する車両に離されることなく続いていく。そして4周目の1コーナーで中井が1台を抜いて20番手に浮上。その後は集団のリーダーとなりつつ、1分55秒台前半の連発で、中井は終盤には単独走行に持ち込んでいった。一時は2秒ほどあった先行する車両との差を、最終ラップにはコンマ6秒にまで短縮。もし、周回数がもう1、2周あれば、きっともうひとつ順位を上げていただろう。
一方、岸は前後にライバルを置いた状態が常に続いたものの、動じずにポジションを守り続けただけでなく、終盤には1分55秒台の前半にまでラップタイムを上げていた。23位でのゴールながら、先行する選手がタイムペナルティを課せられて22位となり、同様に中井もまた、18位へと順位を繰り上げていた。
スタートは、めっちゃ良かったんですが、前の方が最終コーナーでふらついたので、僕も釣られてしまって……。けっこう高いスピードで、真横状態で入っちゃったんです。もったいなかったです、路面コンディションは良くて、昨日の朝みたいな感じだったので。でも、マシンにはダメージはなく、タイヤも大丈夫そうです。明日は9番手からなので、またスタートを決めて頑張ります。

少し路面が良くなってきたというのもありますが、フィーリングが良くなってきて、自分のドライビングも安定して、という感じでした。スタートも出だしこそ良かったんですが、ドロップダウンしてしまって、エンジンの回転数が。ちょっと出遅れちゃったんですが、スタート直後の混乱をうまく切り抜けられて、1周目はポジションキープできたのはギリギリ良かったんですが、上げられなかったのは反省点でもありました。そこからオーバーテイクもできましたし、オーバーテイクにチャレンジできる部分もいくつかあったので、しっかり明日につながるレースになったと思います。

前を抜こうと思っても、スリップの中に入っちゃうとリズム狂ったり、風の影響受けてアンダー出たり、なかなか近づくことができなかったです。離れてからは良かったですが、タイヤの方がもう限界を越えちゃったので、あれ以上近づけなかったです。レースペース的にも足りないので、なんらかの解決策を見つけていかないと。ドライビングの面でも成長できるところはまだまだ多いので。明日、出られないのは残念です、大学の受験で、どうしても……。次のもてぎに向けてしっかり準備を、自分なりに何が足りないのか考え、ロガーでも解析して備えたいと思います。チームのホームなので、しっかり最後は走れるように頑張ります!


日曜日のインディペンデントクラスの第12戦も、スタート進行は8時から始められるはずだったが、8分遅らされた。サーキットが早朝から霧に包まれていたからだ。標高800mもの高地に位置するため、それはもう雲にも等しい。雨でも降らない限り、梃子でも動かないこともあるが、この日は時間の経過とともに薄らいでいる印象もあった。レース開始も8分遅れで、もちろんセーフティカー(SC)スタートとされた。
路面は土曜日に降った雨で濡れてはいたが、全車ドライタイヤを選んでいたから、その程度。9番手からひとつでも順位を上げたいWILLIAMにとっては、SCの先導はもどかしく感じたことだろう。その一方で、周回を重ねるごと視界が開けるようになってきた。6周目のジェットコースターストレートでSCのルーフランプが消える。7周目からようやくバトル開始。ただし、タイムリミットの30分に対し、残りは10分ほどとなっていた。
WILLIAMのリスタートは絶妙! さっそく1台をかわして8番手で戻ってくる。この調子なら……と思われたものの、その矢先に4コーナーでアクシデントが発生。またもやSCが導入される羽目に。残り時間は7分、当初予定された13周を完遂することはおろか、そのままチェッカーが振られる可能性さえあった。実際そうなってしまい、10周目でレースは終了。ただし、不完全燃焼ではあっただろうが、WILLIAMは8位という結果を得た。

第12戦は、第11戦とは異なり、連続して決勝が行われた。すでに8分遅れとなっていたが、インディペンデントクラスのアクシデントもあり、さらに2分追加されて10分遅れでのスタート進行開始とされた。幸い、視界はほぼ良好に、ライン上の路面は完全に乾いていた。先のコメントにあったように岸は欠場。グリッドは開けたままではなく、埋められていた。
21番手からスタートした中井は、1コーナーでの大渋滞を難なく回避し、3コーナーで1台をパス。スピンで遅れた車両もあり、1周目を19番手で終える。2周目にもスピンした車両の前に出た。その後は前にも後ろにもライバルが連なる厳しい状況ながら、プレッシャーに動じている様子はない。しかし、全車に共通するが、昨今のフォーミュラカーは前に近づき過ぎると、ダウンフォースが抜けがちでコーナーが不安定になるから、ペースに優っても抜きにくい。ましてラインを外せば、まだ少しだけ路面は濡れていた。タイヤに厳しいオートポリスで、限界にも達していたことだろう。
最後までチャンピオンクラスにはSCが入ることなく、しっかり13周を走破。中井は18位でチェッカーを受けた。
最後の方、視界も良くなって、路面もドライだったんですが、やっぱり難しいレースでしたね。事故もあって、なかなかタイミングをつかむのが難しかったですね、今日は。オートポリスは山だから、天気は読めないですね。一応、ポイントは獲れたので良かったです。次のもてぎ、ラスト一戦、頑張ります。

スタートは割と良くて、3コーナーで1台パスできました。その後もスピンがあったので、自然に上がっていけました。ラップタイムは安定していましたけど、昨日ほどのペースはなくて、前の選手を抜きたかったんですけど……。ペースは前の選手よりあったと思いますが、なかなかオーバーテイクには至らなくて、という感じでした。セットアップも大きく変えて、少し方向性も定まりつつあるのかな、と思いますが、まだまだ足りていないので、しっかりとは。最終戦までインターバルは短いですけど、皆さんと話し合って進んでいきたいです。いい結果を残します。

WILLIAMさんは昨日のレース、スタート良かったんですけど、飛び出したのはしょうがないです。今日は霧で、不完全燃焼だったんじゃないでしょうか。このところ、調子上がってきていましたからね。中井くんはレースで順位を上げられたから、そこは良かったと思います。ただ、予選がもったいなかったですね、岸くんともども。今日は出られませんでしたが。前回よりはふたりとも明るい兆しは見えていると思いますけど、まだまだ1周のまとめ上げが今ひとつなので、車ももちろんなんですけど、走り方をドライバーとして求めていかないと、厳しいかなと思いますけどね。次のもてぎはホームコースですが、あんまりテストできていないんです。でも、要所はわかっているので、僕たちとしては。しっかり進めていきたいと思います。

FIA-F4
ROUND 11&12QF
COMMENTS
WILLIAM
最後にベスト出たんですけど、タイヤの美味しいところは使えなくて、ちょっともったいなかったですね。今日の朝の練習がすごく良かったので、その調子で明日の朝イチのレースでは頑張りたいと思います。今日の朝がいちばんコンディションは良かったですね、印象的に。予選ではやっぱりタイヤがニュルニュルしちゃって、美味しいところをつかむのが難しかったです。
HARUTO
まぁ、位置取りももっとうまくできたら良かったな、と思うところはあるんですけど、タイムの出し方としてセクターベストを全部まとめられたかというと、そうでもないので、ベストな予選ではありませんでした。それでも練習でやってきたことを、とりあえず予選でひとつ、自分の中ではまとめられて、現状まずまずの内容だったんじゃないかと思います。
FUJI
車自体は、方向は良くなっていたんですけど、アタックでセクター1、2がなんとなくまとまったところで、ちょっと邪魔が入っちゃったところがあって。けど、それがなくても20番手、19番手ぐらいだったので、アジャストしきれたかというと、しきれなかったですね。明日、天気が本当にどうなるかわからないので、状況に応じて、もう追い上げなので、後ろから勢い良く行けたらいいなと思います。