

「HELM MOTORSPORTS」は、国内最高峰レースである「SUPER GT」のGT300クラスに、NISMOのオフィシャルパートナーチームとして引き続き挑む。
2シーズン目となる、2025年は体制を一部変更。チーム代表である平木湧也が第1ドライバーを務め、第2ドライバーに平木玲次が昇格。2021年以来の兄弟コンビで望むことになった。監督は引き続き福山英朗が引き続き采配を振い、数多くの優勝、タイトルを獲得してきた経験を平木兄弟に惜しみなく伝授する。また、新たにエンジニアには浦野夢希が就任。SUPER GTでは初の女性エンジニアとなる。
マシンはもちろん、レースで勝つための車、NISSAN GT-R NISMO GT3で、信頼と実績のタイヤ、横浜ゴムとの強力なパッケージで全8戦を戦っていく。
例年どおり開幕戦は岡山国際サーキットを舞台とし、300kmレースとして開催される。今年のSUPER GTは公式予選がノックアウト方式に戻されたが、2023年までと違うのはQ2進出台数。Q1を2組に分けて行うことは変わらないものの、それぞれの組で上位9台、計18台がポールポジションを争う、Q2に進出することができる。またポイントシステムにも変更があり、GT300クラスは優勝すると25ポイントを獲得。以下、15位までシリーズポイントを与えられることになった。GT500クラスの約2倍という参加台数の多さから見直されたポイントシステムだが、これで中団争いが今まで以上に熾烈になることは必至だ。
今年のテーマは「感動」。結果はもちろんのこと、レース展開にも。何より応援してくれる人たち、ファンや観客に感動してもらえることを最大の目標とする。
晴天の予選日から一夜明けた岡山国際サーキットは、朝から強い風と雨に見舞われた。風雨は昼過ぎまで続き、決勝レースはセーフティカー(SC)先導でスタートすることに。HELM MOTORSPORTS GT-Rは、平木玲次がスタートを担当。GT300クラスの24番手からスタートしたが、SC先導中に前方の1台がスピンしたことで1つポジションを上げており、実質23番手からのスタートとなった。
4周を終えるところでSCが隊列を離れ、いよいよレーススピードで開幕戦決勝がスタートした。しかしその直後、1コーナー先でGT500クラス3台が絡む大きなクラッシュが発生。コース上には多数のパーツが散乱し、レースは赤旗中断となる。幸いドライバーは無事が確認され、車両の撤去やコース清掃を終えて、30分ほどでレースは再開された。
再びSC先導で5周を終え11周目にリスタートが切られると、平木玲次は事実上のオープニングラップで1台をとらえてポジションアップに成功。この時点ではすでに雨は小康状態になっていたが、しばらくはコース上に溜まった水量が多く、ウォータースクリーンで前が見えない中での困難な周回が続き、トラブルやアクシデントでライバルが後退していく。そんな中でも平木玲次は着実に走り続けた。厳しいトラックコンディションでバトルも繰り広げ、24周目には16番手まで浮上。30周を終えるとピットへ向かい、タイヤ交換とともに平木湧也にドライバー交代して後半スティントへと入っていった。
この時点ではまだコース上に水が残っており、交換したのはウェットタイヤ。路面温度も下がってきている中で、なかなかタイヤに熱が入らず苦しい周回が続いたが、路面状況が徐々に回復し、周囲もエクストラピットでドライタイヤに交換するチームが現れ始めた。HELM MOTORSPORTS GT-Rも49周目にピットイン。ドライタイヤに履き替えて、暫定24番手から再び追い上げを開始した。レース終盤、トラブルを抱えたGT500車両がコースサイドにストップし、再びSCが導入される。
再開後は約10周のスプリント勝負になり、GT300クラスの上位陣ではバトルがヒートアップした末に、接触アクシデントも発生した。平木湧也は終盤、同じGT-R ×ヨコハマタイヤというパッケージのライバルと、抜きつ抜かれつの激しいポジション争いを展開。
最終的にポジションを上げることはかなわなかったが、ヘビーウェットからドライコンディションへと変わっていく路面状況の中、アクシデントやトラブルに見舞われることなくレースを走破し、19位でチェッカーを受けた。目標としていたポイント獲得には届かなかったが、新体制となったチームで一丸となってタフな状況を乗り越えてのフィニッシュは、さまざまな収穫があったはずだ。大荒れとなった開幕戦を終え、チームは次戦の富士大会に向けて準備を進めていく。
本当はドライタイヤで走れるぐらい、路面状況が回復してくるまでステイアウトしたかったのですが、思ったよりもタイヤが早く摩耗してしまい、僕のスティントはウェットタイヤでの走り出しになりました。玲次が使ったものとは違うウェットタイヤを履きましたが、ウォームアップに時間がかかり、ようやく熱が入ったときにはタイヤの美味しいところが終わってしまっていて、ペースを上げることができませんでした。目まぐるしく状況が変わっていく中、対応が後手後手になってしまったと感じています。誰も間違ったことをしているわけではなく、きちんと噛み合えばうまくいくところだと思うので、そういった部分をしっかり整えないといけないと感じました。今回外してしまった要因をしっかりと分析し、次戦はポイント圏内を戦えるように頑張りたいと思います。
スタートを担当しました。レース前のウォームアップ走行がヘビーウェットコンディションだったので、その想定でスタートしたのですが、赤旗中断やSC先導中のうちに雨が上がり始めて、いざスタートとなったときにはほとんど雨がやんでしまっていて、その路面とタイヤの内圧設定の組み合わせが良くなかったです。ペースが上がらず、タイヤも摩耗してしまう状況で僕のスティントを伸ばすことができませんでした。ドライタイヤで走れるまでにもう1回ウェットタイヤで走らなければならず、そこが今日の一番大きな反省点かと思っています。テストからいい状態で開幕を迎えることができていましたが、こういったイレギュラーやちょっとしたトラブルが起きたときにチームの対応力がまだまだ足りないので、それも大きな課題です。いい状態のポテンシャルはしっかり持っていると思うので、どんな時でもそこに持っていけるチームの土台作りが必要だと感じました。
ドライバーは2人ともコース上で抜きつ抜かれつの戦いをしていたし、チームとしても、その場その場での対応は上手にやったと思います。予定どおりじゃなかったところが大きかったということですね。リザルトは残念ですが、今日は「戦った、レースをしたぞ」という実感を持てる展開でした。僕自身は心が動いた、感動したレースでした。次につながるものはしっかりと残せた開幕戦だったと思うので、ここから次戦に向けて課題を克服していきたいと思います。
SUPER GT
ROUND 1QF
COMMENTS
YUYA
天候は違いましたが、開幕前の岡山公式テストはセッション2番手タイムを出したりして、調子が良かったんです。セッティングの方向性としてもいいものが見えていたので、今回の予選も期待を持って臨んだのですが、公式練習でトラブルが出てしまい、その対応に時間を取られてしまったことで予選に向けたセットアップが進められなくなってしまいました。ぶっつけ本番のような状態での予選で、ドライバーとしても少し足りない部分がありましたが、クルマのバランスも少し合っていない感じで、残念な予選になってしまい悔しいです。決勝レースは天気が不安定なので、荒れた展開になるかもしれませんが、それをうまく利用できるよう、戦略を練っていきたいと思います。ポイント圏内、できればトップ10に入れるよう頑張ります。
REIJI
想定外のトラブルが出てしまい、セットアップもいい方向に進めることができませんでした。それが予選のパフォーマンスに影響して、いい形で予選日を終えることができなかったのは残念ですし、ちょっとショックは大きいですね。ただ、荒れたレースこそチャンスがあると思うので、着実に1台1台捉えていって、最後には上位に食い込めるような展開を目指していきたいと思います。
HIDEO
公式練習でクルマにトラブルが出てしまって、セットアップを進められずQ1敗退。僕たちの力不足なのか、こんなタイミングでトラブルが出たのは神様のいたずらなのか、いずれにせよシーズン開幕の予選としては残念な結果になってしまいました。すべての物事が、人間が解決できるものではないと思っているし、悪いところにフォーカスしすぎて迷走しても良くないので、言い尽くされた言葉になってしまいますが、明日はベストを尽くすだけですね。今シーズン頑張っていく原動力になる感動を、チームのみんなで生み出していきたいです。