





「HELM MOTORSPORTS」は、国内最高峰レースである「SUPER GT」のGT300クラスに、NISMOのオフィシャルパートナーチームとして引き続き挑む。
2シーズン目となる、2025年は体制を一部変更。チーム代表である平木湧也が第1ドライバーを務め、第2ドライバーに平木玲次が昇格。2021年以来の“純”兄弟コンビで臨むことになった。監督として引き続き福山英朗が采配を揮う。
マシンはもちろん、レースで勝つための車、NISSAN GT-R NISMO GT3で、信頼と実績のタイヤ、横浜ゴムとの強力なパッケージで全8戦を戦っていく。
スポーツランドSUGOが舞台の前大会では、予選で今季初のQ1突破を果たすも、天候の読みを誤ってQ2に残されたタイヤがマッチせず。18番手とはなったものの、決勝では身上とする粘り強さで、大クラッシュもあって赤旗も出された波乱の展開の中、10位となって、これまた今季初のトップ10フィニッシュを果たしている。
シリーズ第7戦が行われるオートポリスは標高800mの高地に位置し、ターボ車に有利な側面も持つ。昨年は悪天候で一発勝負となった予選で10番手となり、かつて参戦していたスーパー耐久では、2022年に総合優勝の経験も。HELM MOTORSPORTS GT-Rとは、相性の良いサーキットと言ってもいいだろう。4戦連続のポイント獲得で、右肩上がりの状況にあっては、まさにうってつけの舞台となってくれそうだ。
今大会はサクセスウェイト半減の一戦であり、条件は全チームに共通するものの、前大会とほぼ変わらぬ14kgで挑めることで、勢いを保ったままであることが期待される。

決勝日も曇り空が広がったオートポリスだが、九州でのGTレース開催は年に一度ということもあり、この日は16,000人のモータースポーツファンが詰めかけた。予選でクラッシュした車両が決勝レースを欠場することとなり、HELM MOTORSPORTS GT-Rはクラス25番グリッドからのスタートに。
スタートドライバーを務めた平木湧也は、オープニングラップの大渋滞の中で早々に2台をかわしてポジションを上げると、さらに1台がペナルティ消化のためにピットに向かい、7周目には22番手まで順位を上げる。前を行く1台との戦いは、なかなかオーバーテイクのチャンスには恵まれないが、平木湧也はペースを乱すことなく周回を重ねていく。
20周目、ついにその1台をかわしてさらに順位を上げると、上位陣では早めのピット作業を選択するチームが現れ、さらに1台、また1台と戦列から離れることでHELM MOTORSPORTS GT-Rは見た目の順位が上がっていく。レースが約1時間を経過したところ、8番手まで上がった31周目に1度目のタイヤ交換と給油作業のためにピットイン。ドライバーも平木玲次に交代し、第2スティントへと向かった。
暫定21番手で始まった第2スティントだが、各車のピット作業が終わって順位が整理されると、HELM MOTORSPORTS GT-Rは18番手に浮上。3時間のレースを3スティントで均等に割るならば、次のピット作業は2時間を経過したところになるが、予定よりも早くそのタイミングは訪れた。GT300車両が1台、ホームストレートを走行中にタイヤトラブルが発生し、ピットロード出口付近でストップしたのだ。これによりレースにはフルコースイエロー(FCY)あるいはセーフティカー(SC)が出ることを見越して、いくつかのチームは早めのピットインを選択。HELM MOTORSPORTSも同様に、すぐさま平木玲次をピットへ呼び戻す。
ところが、前を走るライバル車両も同じタイミングでピットロードに向かい、なんとHELM MOTORSPORTS GT-Rのピット位置にストップしてしまったのだ。奇しくもこの車両とは、ピット位置が隣同士。相手のミスに巻き込まれる形で大幅にタイムロスしたばかりか、このタイミングでタイヤ交換と給油を行えないまま、ピットロードを通過せざるを得ず……。
その後、残り時間が1時間を示すあたりでもう一度ピットに向かい、タイヤ交換と給油を行った。定石よりも1回多くピットに入らなくてはならなくなったHELM MOTORSPORTS GT-Rは、またしても後方に下がることとなったものの、トラブルやアクシデントによって離脱する車両が出たことで、ポジションは次第にアップ。もちろん自らも上位陣に引けを取らないラップタイムを並べ、この日のパフォーマンスの高さを示して見せた。
残念ながら、ひとつ前のポジションを走る車両とは大きなギャップがあったため、追いつくことはできなかったが最後は13位でチェッカー。今回もシリーズポイント獲得位置まで挽回の戦いを見せた。
第7戦を終え、HELM MOTORSPORTSは第3戦から5大会連続でポイントを獲得し、ドライバーランキング22位。チームランキングではリタイアとなった、第2戦を除くレースでポイントを獲得していることから、19位につけている。
僕のスティントでは前のマシンに詰まってしまって、全然タイムを伸ばせませんでしたが、まわりに対して少しタイミングをずらしてピットに入ったことで、玲次はクリアな場所で走ることができ、その時のペースは非常に良かったです。今日に向けたセット変更が良かったのだと考えています。パフォーマンスを出せたという部分はいいことですが、やはり予選。フリー走行でのトラブルや、ミスがなければもう少しいいところに行けるのではという手応えはあるので、最終戦のもてぎは地元での戦いですし、何とか今季ベストリザルトに持って行きたいです。

決勝を見据えたセットアップはとてもしっくりと来ていて、ラップタイムを落とさずに走れました。ピットインのタイミングで混乱があり、大幅にロスしてしまいましたが、ペース自体が良かったのでそこからもリカバリーができ、クルマに対する収穫がとてもあったレースになったと思っています。今まで使ったことのないスペックのタイヤでの挑戦でしたが、それがうまくはまりました。この戦闘力があったので、本音を言えばもっと上に行きたかったですが、週末を通してトラブルやハプニングなどがあった中、ここまで挽回できたことはすごいと思います。確実にプラスになるものはあったので、これを手に戦う地元でのシーズン最終戦は、自分たちにとってベストのレースにできるよう頑張ります。

FCYが入ると予想してピットに飛び込んだら、別のチームのクルマがうちのピットの前に止まってしまって、作業ができないという事態が起き、そこで数十秒のロスが生まれてしまいました。そのロスがなかったら12位とのギャップはもっと小さかったでしょうし、展開も変わっていたかもしれないと思うと残念です。ただレース中、タイミングによってファステストラップを記録できていたことは、自分たちのポテンシャルを示せたと思います。予選は反省点が多く残る結果でしたが、決勝は自分たちのやってきたことが間違いなかったというところを見せられたと思います。最終戦はシーズンの集大成を見せたいですね。

SUPER GT
ROUND 7QF
COMMENTS
YUYA
フリー走行でトラブルが出てしまい、セッションの大部分を走れずに過ごすことになってしまいました。タイヤのマッチングもうまくいかず、今回セット変更してきたものについても評価ができない状態で予選に挑むことになったのはタフでしたし、残念です。決勝に向けては、正直に言うと、できればタイヤで差が生まれにくいウェットコンディションでレースができるといいなという思いはありますが……。どんな状況でも、なんとか前に進むだけなので、頑張ります。
REIJI
フリー走行でのトラブルで、僕はその時間帯は走ることができませんでした。修復も終わって、ようやく走れたのはサーキットサファリのタイミングで、そこも2周ほどだったので、今日のクルマがどんなポテンシャルだったのか、実際にはつかみ切れていないところがあります。湧也も苦しい予選だったと思いますが、ここから這い上がっていけるよう、決勝はチーム一丸で戦っていきたいと思います。
HIDEO
公式練習中のトラブルで絶対的に周回数が少なかったですね。ドライバーにはタフな状況になりましたが、対応力の高いふたりですから、そのあたりは信頼して見ていました。トップタイムのチームと、うちとのタイム差はおよそ2秒弱。このタイム差は、これまでのレースとそれほど大きく変わらないのですが、今回はその2秒弱の間に他のマシンがたくさん入ってきて、うちは取り残されたかのような気がしています。オートポリスに向けて、攻めの姿勢でタイヤ選択をしましたが、結果的にはスタンダードな選択をしたチームに負けてしまったということかなと。うちはチームとして2年目、まだまだ経験を積んでいく必要がある中で、難しい1日になってしまいました。明日はウェットレースになってくれれば、これまで経験のあるレインタイヤを履けるし、ドライバーの腕の見せどころという戦いになります。チームのみんなを感動させてくれるような走りを期待するし、その走りを見てメカニックのみんなも負けられないっていう気持ちになって、高いレベルで戦えるようにしたいですね。