





「HELM MOTORSPORTS」は、国内最高峰レースである「SUPER GT」のGT300クラスに、NISMOからのサポートを受け、引き続き挑む。
3シーズン目となる、2026年は体制不動。チーム代表である平木湧也が第1ドライバーを、第2ドライバーを平木玲次が務め、引き続き兄弟コンビで臨む。監督もまた福山英朗が采配を振い、浦野夢希がエンジニアを担当することでも変わりはない。
マシンもNISSAN GT-R NISMO GT3のまま、タイヤも横浜ゴムとの強力なパッケージで全8戦を戦っていく。
スポーツランドSUGOで行われた前回のシリーズ第6戦では、変更されたBoP(車両ごとの性能調整)に苦慮し、公式練習や予選では本領を発揮できず。それでも最後まで諦めずに進めたセット変更が功を奏し、決勝では徐々に順位を上げていった。序盤にあった接触に対し、5秒のタイムペナルティが課せられてしまうも、それすら跳ね除けて10台抜きを果たしていた。
これでますます明らかになったのは、予選のパフォーマンス不足。認めたくはないが、事実である。課題克服に向け、大胆なチャレンジを期待したいところだ。
今回のレース、シリーズ第7戦の舞台、オートポリスは阿蘇山中の高地にあるため空気が薄く、過給が可能なターボ車に有利な側面を持っている。実際、昨年のレースでは、「HELM MOTORSPORTS GT-R」はポイント獲得も果たしており、相性は悪くない。また、3時間の長丁場ということで、普段のレースとは戦い方のリズムも異なることで、何らかの打開策も見出せるのではないか。ライバルがMAXのサクセスウェイトを背負う状況において、22kgで臨める有利さもあるはずだ。

決勝日を迎えてもなお、オートポリスらしくないとも言えるほど、朝から爽やかな秋晴れが広がっていた。心地よい風も吹き、絶好のレース日和となった今大会は、観戦券が完売し、当日券も販売されないほどの大盛況。2日間で約3万人ものファンがサーキットに足を運び、各コーナーから送られる熱い声援を受けながら、「HELM MOTORSPORTS」は決勝レースへと挑んだ。
前日のトラブルによって十分な走行時間を確保できなかったことから、決勝前のウォームアップ走行では平木玲次がステアリングを握り、クルマの状態を確認しながら最後の調整を行い、1分48秒124をベストに、1分48秒台前半でコンスタントには走っていた。しかし、他チームと比べて走行データが圧倒的に少なく、タイヤライフの限界も把握できていない状況では、リスクの高い戦略を選択することは難しい。そこでチームは堅実な戦略を軸に、「HELM MOTORSPORTS」らしい粘り強い走りで着実に順位を上げていくことを目指した。
スタートドライバーを務めた平木玲次は、オープニングラップで早々に2台をかわし、22番手へと浮上。幸先の良いスタートを切った。5周目には早くもピット作業を行うチームが現れ始めたが、慌てることなく状況を見極め、スタートから約1時間を目安にピットインする戦略を選択。平木玲次は着実に周回を重ねながら、さらなるポジションアップの機会をうかがっていった。
無理に仕掛けることなく、安定したペースを維持しながら周回を重ねていく。オーバーテイクこそかなわなかったものの、ポジションをキープ。そんななか、22周目にはSC(セーフティカー)が導入され、6周にわたって先導が続く展開に。解除後も落ち着いてリスタートを決めると、レースが残り約2時間となった31周終わりにピットへと向かう。
チームはアンダーカットによる大幅なポジションアップを狙い、タイヤ無交換という大胆な戦略も視野に入れていた。しかし、残り2時間を走り切るにはタイヤライフへの不安が拭えない。うまくはまれば一発逆転も狙える一方で、前日の走行不足によって十分なデータを得られていない以上、大きなリスクを伴う選択は避けたいところ。そこで、タイヤ交換と給油を行うフルサービスを選択し、平木湧也を送り出した。
メカニックの迅速かつ確実な作業によってアンダーカットに成功すると、フレッシュタイヤの強みを活かして前方との差を詰めていく。平木玲次と同様に安定したペースを刻みながら着実に順位を上げ、16番手まで浮上した。しかし、ここで再びSCが導入される。前方とのギャップを徐々に縮めていただけに、チームにとっては惜しいタイミングとなったが、荒れ模様となるレース展開にも冷静に対応し、抜群のリスタートを決めると、再び上位を目指して走り続けた。
その後もタイヤマネジメントを徹底しながら周回を重ね、70周終わりまでスティントを引っ張って2度目のピットイン。ここでもメカニックがミスのない迅速な作業で再び平木湧也を送り出し、残り約50分の最終スティントへと向かう。ライバルの戦線離脱やペナルティによる順位変動もあったものの、13番手でコースへ復帰。フレッシュタイヤを活かして好ペースを刻みながら、前方を走る車両を追いかけていく。一時は3秒以上あったギャップを着実に縮め、残り30分を切る頃には約1秒後方にまで接近。そして81周目、ついに捉えてオーバーテイクに成功した。
早めにピットインしたライバルたちがタイヤライフに苦しむ一方、「HELM MOTORSPORTS GT-R」は第2スティントを長く引っ張れたことで、最終スティントではタイヤの余力を残すことができていた。それを活かしてさらにペースを上げると、11番手まで浮上。続いて同じヨコハマタイヤを履く車両を猛追し、3秒以上あった差を徐々に詰めていった。残り10分を切る頃には、その差はわずか0.3秒以内にまで縮まっていた。
さらに、9番手から12番手までの4台が一団となり、トップ10入りをかけた熾烈な争いが繰り広げられる。そのなかでも「HELM MOTORSPORTS GT-R」は最も良いペースを発揮しており、チームにとっても自力でトップ10をつかみ取るチャンスが訪れていた。
しかし、残り3周というところで、思わぬ事態が発生。ここまで好調に走り続けていたにも関わらず、突如として加速が鈍る症状が現れ、一度は捉えたライバルにも先行を許してしまったのだ。あと一歩でトップ10に手が届くところまで迫っていただけに、チームにとっては悔しさの残る展開となった。
それでも、平木湧也は最後まで諦めることなくチェッカーを目指し、3時間にわたる厳しい戦いを走り抜いた。最終的に93周を走破し、12位でフィニッシュ。その後、正式結果では上位の複数台にペナルティが科されたことで、最終的に8位へと繰り上がった。これにより、第4戦富士で記録したチーム最高位に並ぶ、ベストリザルトタイムを達成することとなった。
終盤にここ一番の大勝負でアクシデントが発生し、ポジションを下げることにはなったものの、そこまで上位を争うことができたのも、チームの戦略がうまく機能し、持ち味である決勝でのレースペースを存分に発揮できたからこそ。結果的にペナルティによる繰り上がりという形ではあったものの、初日の不運なトラブルから立て直し、最後まで諦めずに戦い抜いたことが、8位という結果につながったとも言えるだろう。まさに、粘り強さと諦めの悪さに定評がある「HELM MOTORSPORTS」らしいレースではあった。前戦SUGOでは最後尾から10ポジションアップを果たしたが、今回はそれを上回る17ポジションもの挽回に成功。苦しい状況でも全員で力を合わせ、今季2度目となる8位入賞を掴み取ったことは、チームにとって大きな自信とモチベーションにつながる結果となった。
一方で、改めて浮き彫りとなったのは、やはり予選でのパフォーマンスだ。決勝ではこれだけの追い上げを見せられるからこそ、より前方のグリッドからスタートすることができれば、さらに上位を争える可能性も広がってくる。今季を通して取り組んできた課題と向き合い、残されたレースでその成果を発揮することが求められる。
次戦はいよいよ2026年シーズンの最終大会。舞台となるモビリティリゾートもてぎは、茨城県水戸市に拠点を構える「HELM MOTORSPORTS」にとってのホームレースだ。今大会で得た手応えを自信に変え、応援してくださる多くのファンの期待に応えられるよう、悲願の表彰台、そして初優勝を目指して最後まで全力で戦い抜く所存だ。残された2レースも「HELM MOTORSPORTS」らしく、どんな状況でも諦めることなく、チーム一丸となってさらなる高みを目指していく。
「ダブルスティントを担当し、安定したペースで走り切ることができ、終盤にまわりのタイムが落ち始めた時にオーバーテイクすることができました。最後9番手を先頭にした集団に追いつくことができましたが、まったく加速しない状況になってしまいました。タラレバですが、あと2台もパスできていたのかなという思いもあり、とても悔しいです。ですが、今回は固いレースをして、しっかりと順位を上げることができ、なおかつチームにとってもベストリザルトタイの8位を獲得できたことは、とてもポジティブなものでした。パフォーマンスの高さと好ペースを発揮でき、チームとしては前進していると信じたいですね。やはり予選でのパフォーマンスを改善しなければいけません。ずっと課題にしていますが、未だに解決できていないので、次戦に向けては入念に準備を進めていきたいです」

「スタートでいくつかポジションを上げることができましたが、その後はずっと前の隊列についていくという展開になり、抜く手立てもなく、自分としては課題の残るスティントでした。ラップタイムこそ、そこまで悪くなかったとはいえ、もう少し順位を上げておきたかったですね。そうすれば、もう少し違う戦略を採れていたかもしれないので、反省点です。後半は湧也のペースも良く、最終的にトップ10フィニッシュすることができましたし、公式練習からの流れを考えると、うまくレースで立て直すことができて良かったです。ですが、決勝でこれだけのパフォーマンスがあるのであれば、やっぱりもっと前からスタートできれば、さらにいいレースができると思います。やはり課題は予選ですね。次戦もてぎは2レースありますし、地元開催なので、なんとしてもQ1を突破して、上位のグリッドからレースして勝ちにいきます」

「自分たちはいい仕事できたと思っています。よくやりました。ドライバーふたりもチームのみんなも手放しで喜んでいいと思います。欲を言えばきりがないけれど、終盤はまわりに比べてペースも良かっただけに、自力で10位を獲得できる可能性があっただけに、少し残念さもあります。でも、やりきった感はありましたし、13位でフィニッシュして最終的には8位を獲得できたので、喜ばしいことですね。僕はいつものルーティン作業ができれば、常にトップ10近辺で争うことができるように、チームにとってベーシカルなレースを作り上げたいと思っています。それが昨年、一昨年に比べていくつかできているからこそ、ここ数戦は結果に結びつき始めています。今は自分たちの実力を磨きあげていく時ですね。なので、いつも自分たちの力を出し切るレースができるようになれば、一歩ずつではありますが、やがて花が咲くでしょう。次戦も今持っている実力を常に出せるように、なおかつ実力を少しずつ伸ばしていけるように取り組んでいきます」

SUPER GT
ROUND 7QF
COMMENTS
YUYA
「公式練習のアウトラップで突然プロペラシャフトが折れてしまい、クルマを止めることになりました。滅多に起こり得ないことなので、持ち帰って検証してみないと原因がわからない状況です。再発防止のため、なんとしても原因究明をしてほしいところです。そんななかでもメカニックがサーキットサファリまでに修復を間に合わせてくれましたが、エンジン系のトラブルも起きていたのでセットアップを進められないまま予選を迎えました。いきなりニュータイヤでのアタックで、自分的にはベストは尽くせたと思ってはいますが、僅差でQ2進出を逃してしまいました。今の状態では、できることはやりきったと思っています。今回は3時間の長丁場のレースなので淡々と走って、確実にポイントを獲得できるように、手堅いレースができるように準備を進めていきます」
REIJI
「僕がスクラブタイヤでアウトインして湧也に変わったところ、アウトラップで突然駆動系トラブルが起きてしまいました。なんとかメカニックが、限られた時間で修復してくれたので、サーキットサファリの走行には間に合わせてくれましたが、それだけでは時間が足りず、セットアップのアジャストは大きく遅れをとることになりました。そのままぶっつけ本番のような形で予選に挑みましたが、湧也もなんとかタイムを出してくれていました。ただ、公式練習で少しでも多く走れていたら、またちょっと違う結果になっていただろうなと感じています。なかなか厳しい状況です。昨年もトラブルで予選は下位に沈みましたが、決勝は追い上げてポイントを獲得することができたので、レースペースの良さと自分たちの強み生かすことができれば、きっといいレースができると思っています」
HIDEO
「こういったことは今までにも何度かありますが、初日として流れは良くなかったですね。ですが、ほとんど走行もアタックシミュレーションもしていないのに、予選ではよくあのタイムを一発で出してくれたと思っています。Q2進出には約0.2秒足りませんでしたが、あの予選のパフォーマンスには驚きもありました。そういった意味では、ふたりはとても優秀なドライバーなので、決勝ではさらに高いパフォーマンスを発揮してくれると信じています。このサーキットにおいてクルマのキャラクターとしては、なかなか苦しい状況にありますが、斧のように刃こぼれしないクルマなので、そこを生かしていつものように這い上がっていきます。フリー走行からの不幸から脱出して、予選に出走できたことに喜びを感じて、決勝が走れることに喜びを感じていきましょう。決勝も必ず追い上げて“HELM MOTORSPORTS劇場”をお見せできるように戦っていきます」